2011年11月10日木曜日

vol.482 長谷川公茂著「東海の円空を歩く」(風媒社)を読んで

 ツーリング・レポート「東海・旅の足跡」をお読みいただき、ありがとうございます。
  上の写真は長谷川公茂著「東海の円空を歩く」(風媒社)の表紙です。

 円空仏に関する本は、古書だったり、高価だったりと、最近では手に入りにくいので、円空仏ファンのひとりとして、こうした本が上梓されるのを心待ちにしていた。
 一読して、素晴らしい本であることは、改めて言うまでもないが、本書を読み終えて、以下に気になった点をいくつか挙げておきたい。

 巻頭に「拝観が可能な寺院・資料館」が掲載されているが、情報が過不足なく記されているかといえば、そうではない。代表的なリストという扱いで、20箇所が挙げられているが、その他にも常時、拝観可能な円空仏がある(例、小牧市歴史館など)。
 また、続きのページには、「おもな円空仏の所在分布」が記載されているが、こちらも情報が過不足なく記されているかといえば、そうではない。「おもな」とあっても、比較的自由に拝観が可能な寺院の名前が記されていない(例、南知多町の慈光寺など)。
 本文中においても、情報が過不足なく記されているかといえば、そうではない(例、揖斐川町にある一心寺所蔵の円空仏は現在、揖斐川歴史民俗資料館に寄託されているなど、明らかな間違いがある)。
 これらは風媒社の編集者が確認を怠ったことによるものだろう。

 本書を読んだ後には、「拝観が可能な寺院・資料館」よりも、さらに詳しく円空仏を目にしたいという人や、自宅近くの寺院が「円空仏の所在分布」に掲載されているが、そこは拝観可能なのかどうか、という疑問が残るだろう。

 このブログ(ラベル 円空仏の頁)では、そうした疑問に対して、自らの足で稼いだ情報を掲載しているので、参考になれば幸いである。
 「最近の円空仏ファンは拝観のマナーが悪く」と記されている(心を痛めている)が、円空仏が大好きな人に、悪い人間はいないと信じている。

 文末になりましたが、長谷川公茂先生の円空仏に対する永年の研究に対して、心から敬意を表します。

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