2018年1月3日水曜日

vol.1557 はじめに言葉ありき

 ブログ「東海・旅の足跡」をお読みいただき、ありがとうございます。

 『スター・ウォーズ』の登場人物の中で、僕が好きなのはオビ=ワン・ケノービとヨーダの二人。なのに、矛盾しているけれど、怒りや憎しみといった負の感情から生み出されるフォースのダークサイド(暗黒面)に魅力を感じる、と僕が書いたら、周囲の人たちに驚かれるだろうか。それとも、やっぱりと思われるだろうか。
 人の原動力は様々で、嬉しいや楽しいといった正の感情、「好きこそ物の上手なれ」のことわざもある。「女性は恋をするとキレイになる」と言われるように、女性の原動力には恋愛が含まれるはず。
 さて、自分の場合はどうだろうか、と考えてみたら、底知れない負の感情が己(おのれ)を最も突き動かしていることに気が付いた(と言うか、気が付いている)。なぜなら、我ながら情けないことに、僕は自分の内側から、ふいに揺り動かされる、そうした感情をコントロールできない。
 負の感情にもいろいろあって、人前でムキになったり、頭に血が上ることは、まず無いから、怒りを鎮めたりするのは、割と得意な方だろう。怒りと憎しみでは、僕は思ったよりも感情が高ぶらず、逆に冷めている(事態を冷静に分析している)自分に驚くことがある。その場で、笑いやユーモアに変えることさえある。
 しかしながら、自分の中で、後悔の念や悲しみの感情だけは別次元だ。どうしてもコントロールできない感情だからこそ、強い力に変わるのだと、そう自覚している。だからなのか、僕は悲しみを語ることが大の苦手で、これほど難しいものはない。失恋の悲しみならば、新しい恋をすれば、乗り越えられるだろう。死別の悲しみは十年、二十年と、これからの人生の中で、長い時間が解決してくれることもあるだろう。人はいつしか上手に悲しむことさえできる。
 なれど、何があったわけでもないのに、僕は言葉にできない漠然とした悲しみに襲われる。まるで暗闇の中に放り込まれたみたいに、何も見えず、何も聞こえない。孤独の檻に閉じ込められて、ただ悲しみという感情に縛り付けられて、身動き一つさえもできない。

 以下は大事な余談。
 「東海・旅の足跡」は読者を喜ばせることを第一としてきたけれど、旧臘からは自分のブログだからこそ、何の制約もなく、自分の書きたいことを書く(正確には吐き出す)、それを最優先することにした。それでも読んでくれる人がいれば、それがたった一人でも構わない。もしかしたら、一人もいないかもしれない。それでも構わない。石川啄木の『ローマ字日記』や正岡子規の随筆集ような素晴らしい文章が僕に書けるはずもないけれど、僕も文字を書くのではなく、早い話が僕の心の中にある言葉を書いてみたくなった。それがどこまで続くか分からないけれど。

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